フリーランス日本語教師のRinです。
私は「みんなの日本語」を使って文法を教えています。以前、第10課で「上・下・となり」などの言葉を教えながら、ふと思ったのことがあります。
ここで学習者に「横と隣の違いは何ですか?」と聞かれたら、わかるように説明できるだろうか・・・?
日本語のネイティブであればなんとなくの違いは把握していますが、いざ言葉にして説明するとなると、なかなか難しくないですか?
ということで、この記事では「よこ」「となり」の区別についてまとめました。
「よこ」の意味
「よこ」を辞書で調べると「縦と直交する方向」と書かれています。
つまり「水平の方向」ということです。
辞書によっては「東西」や「左右」と説明されています。
方向が大事なんだね!
「よこ」とは、水平方向に位置していることを意味しているので、距離は関係ありません。
「よこ」を使った例文
⭕️ 首をよこに振る。
( ❌ 首をとなりに振る。)
わかりやすい例のひとつとして「縦」と「横」をセットに考えること。
日本語で「首を縦に振る」はYesの意味、「首を横に振る」はNoの意味ですよね。
辞書にあるように「縦と直交する方向」です。
<スマホの側面のボタンを指すときに>
⭕️ よこのボタン
( ❌ となりのボタン)
このように、ある物質にくっついている別の物質を指す場合は「よこ」を使います。
「よこ」は距離は関係ないので、くっついていても、くっついていなくても、水平方向であればすべて「よこ」です。
「となり」の意味
「となり」を辞書で調べると「一番近い両横」とあります。
「よこ」は水平方向のみでしたが、「となり」は方向は関係ありません。
「となり」を使った例文
⭕️ おとなりさん
⭕️ となり合わせる
「一番近い両横」ですから、「おとなりさん」は自分の家と隣接する家のことですね。
「となり合わせる」も自分の座席と横に接した席のことです。
反対に、「よこの家」は、直線上に並ぶすべての家を指すことになるし、「よこの席」は横一直線の座席すべてを指すことになるのです。
よこに座る?となりに座る?
上記で説明したことを踏まえて、次の2つの文を比べてみましょう。
- ミラーさんのよこに座る
- ミラーさんのとなりに座る
「よこ」は距離は関係なく、水平方向の一直線状がすべて対象になるので、❶は、左右の方向であればミラーさんと自分の間に何人か隔てていたとしても「ミラーさんのよこに座る」と言えます。
反対に「となり」は、並んでいるもののうち一番近いことを表すので、❷は、ミラーさんと私の間には席がなく隣り合っていることになります。
となりの国?よこの国?
では、例えば日本から見て韓国を指す場合「となりの国」でしょうか。「よこの国」でしょうか。
『となりの国』はどこを指す?
先ほども説明したとおり「となり」は間に隔てるものがなく一番近いことです。また方向は関係ないため、日本のとなりの国は「韓国」「ロシア」「中国」などを指します。
また、日本とアメリカの間には海があって距離もとても遠いですが、「国」という大きい括りでいえば間に隔てるものがないので「となりの国」と言えます。
『よこの国』はどこを指す?
「よこ」は水平方向にあるものを指すので、本来の意味どおりに解釈すると「よこの国」というと世界地図で同じ緯度にある国のことになります。
まとめ:「よこ」と「となり」の違い
「よこ」
- 縦と直交する方向
- 水平方向で距離は関係ない
- 左右一直線上にあるものを指す
- 並んだもののうち一番近い両横
- 方向は関係なし
日本人であっての混乱する2つの言葉。
学習者ならなおさらわかりにくいと思いますから、絵などでわかりやすく説明するのがいいかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました♡