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【レビュー】会話の授業を楽しくする コミュニケーションのためのクラス活動40

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私がフリートークの授業で参考にしている本をご紹介します。

今回ご紹介する本は「会話の授業を楽しくする コミュニケーションのためのクラス活動40」です。


まず、最初に言うと、こんなに内容盛りだくさんで1,800円+税とは「コスパ最強」だと思います。しかも学習者の対象レベルは「初級後半〜上級」。これ1冊でかなり使えます!

コミュニケーションのためのクラス活動:第1部

本書は第1部〜第4部に分けられています。第1部のテーマは「ともかく話す:自分の言いたいことを、自分の言葉で伝える」です。

第1部の目次

  1. おしゃべりの引き出し
  2. 個性的な自己紹介
  3. 私の自慢
  4. 雑談力をみがく
  5. チームで協力!

それぞれに基本活動の手順がていねいに書かれていて、導入の仕方や活動方法、注意点、教師からのフィードバックの仕方まで詳しく書かれていますから、新人の教師にもとっても優しいです。活動に使うワークシートも付いていますから、即授業ができます。

使ってみた感想

初級文法の学習が終わったばかりで、自分から話すことにまだ慣れていない学習者にとって、頭の中で日本語の文章を作りながら会話をするのは大変ですよね。この第1課の活動ではブレインマップを使いながら、少しずつ会話に慣れていくところから始めます。それに慣れてきたら、即興で話す練習をします。「初めからたくさん話そう!」ではなく、段階を踏んで徐々に会話に慣れていけるところが、とてもいいと思いました。

また、「雑談力をみがく」活動では、会話の中で適切な質問をする技術を身につける練習をします。初対面の人と何か話をしなければならない場面で、この「雑談力」は日本人同士であっても大切な技術ですよね。本書では、雑談する力をつけつつ、適切なときに話題を転換し終了する技術も身につけられるのです!「話題を終了する技術」っておもしろいですよね。考えたことがなかったです。

日本語教師のみなさんも「レッスン終了時間なのに会話が盛り上がってしまい、なかなか終わりを切り出せない・・・」という経験をしたことがあるかもしれません。確かに「話を広げる技術」も大切ですが、適切な時に「終わらせる技術」も大切ですよね。学習者と一緒に教師も学ぶことが多いです。

コミュニケーションのためのクラス活動:第2部

第2部のテーマは「聞き手を意識:自分の言いたいことを、聞き手を意識して調整して伝える」です。

第2部の目次

  1. ウソを見破れ!
  2. 話し方とキャラクター
  3. 偶然について話す
  4. コメント力をきたえる
  5. 上手な意見の伝え方
Rin

目次を見ただけでおもしろそう!ワクワク!

使ってみた感想

第1部は、自分の言いたいことを自由に話すことが目標でしたが、第2部では聞き手を意識しながら話すことを目標としています。

日本語は言葉以外の表現に頼るコミュニケーション方法「高コンテクスト」の言語ですから、ただ自分の言いたいことを言うだけではなく、相手のことを意識しながら自分の話すことを調整して伝えることが多いと思います。この授業では、会話の練習をしつつ「高コンテクスト」の日本語文化も学べますから、学習者にとって学びが多い授業になるはずです。

コミュニケーションのためのクラス活動:第3部

第3部のテーマは「内容を整理:自分の言いたいことを、内容を整理して説得的に伝える」です。

第3部の目次

  1. 説明のコツ
  2. これは誰の意見?
  3. フィラーにトライ!
  4. 依頼のテクニック
  5. 説得の技術
Rin

フィラーが出てきた!

私は今までフィラーを意識したレッスンをしたことがなかったので、とても新鮮に感じました。確かにネイティブのように自然な会話をするとしたらフィラーは必要不可欠ですよね。

フィラーとは、「ええと」「あの」「まあ」など、会話の合間に挟む言葉のこと。

使ってみた感想

第3部の特徴は自分の言いたいことの内容を整理して「説得」したり「説明」したりすることが学べることです。また、相手の気持ちに配慮して依頼交渉を円滑に進める練習もできます。

ここでも相手の気持ちを重視しながら話す『日本人的』な考え方が学べますから、学習者もいつも以上に興味を持ってくれます。

また、第3部にはディベートをするためのワークシートもついています。そのワークシートには、なんと、ディベートのテーマが10個も載っていますから、ネタ切れの心配はありません!盛りだくさんの内容で、学習者も教師も楽しみながらディベートにおける適切な話し方を学べて、中級学習者以上のレベルアップには効果的だと感じました。

コミュニケーションのためのクラス活動:第4部

第4部のテーマは「聞き手に配慮:自分の言いたいことを、聞き手の感情に配慮して伝える」です。

第4部の目次

  1. 私ならあなたなら
  2. あなたも私も幸せ
  3. いらっしゃいませ
  4. とっさの一言
  5. ユーモアを交えて

おもしろいのは④の「とっさの一言」「周囲との関係を良好に保ちながら気まずい場面を切り抜ける」というなんとも日本らしい活動があります。

Rin

「切り抜ける力」も必要な技術だよね!

使ってみた感想

「相手の気持ちを害さずに、やんわりと断りを入れる」のような、とても『日本人的』な会話能力を鍛えることができます。例えば、禁煙場所でタバコを吸っている人に注意するとき、ストレートに言うのではなく、どのようにしたらトゲを立たせずに伝えられるか、を学習者と一緒に考える活動については、学習者の国との違いを学べて私もとても興味深く楽しいレッスンになりました。

「注意する側」と「注意される側」の気持ちを考えて、それぞれの立場に立った言い方の違いがロールプレイを通して勉強できます。

相手の気持ちに配慮して言い方を変えることは日本に住んでいる(またはこれから住む予定の)外国人にとって、必要不可欠なことですよね。知らずに相手との関係が悪化してしまう可能性もありますから、こうやってロールプレイを通して学べるのはとてもいいと思いました。

まとめ:コミュニケーションのためのクラス活動40

4部構成になっていて、目次は下記の通りです。

▶︎第1部

  1. おしゃべりの引き出し
  2. 個性的な自己紹介
  3. 私の自慢
  4. 雑談力をみがく
  5. チームで協力!

▶︎第2部

  1. ウソを見破れ!
  2. 話し方とキャラクター
  3. 偶然について話す
  4. コメント力をきたえる
  5. 上手な意見の伝え方

▶︎第3部

  1. 説明のコツ
  2. これは誰の意見?
  3. フィラーにトライ!
  4. 依頼のテクニック
  5. 説得の技術

▶︎第4部

  1. 私ならあなたなら
  2. あなたも私も幸せ
  3. いらっしゃいませ
  4. とっさの一言
  5. ユーモアを交えて

本当に盛りだくさんの内容で、使えそうな活動がギュッと凝縮されています。初級レベルから上級レベルまで使えるのも魅力的。興味がある方はぜひ授業に取り入れてみてください。


Rin

コスパ最強!おすすめ!

最後までお読みいただきありがとうございました♡

ABOUT ME
Rin
日本語教師養成講座420h修了。ワーホリで韓国に1年間滞在。帰国後、航空会社に勤務するも2020年コロナによる失業を経験。失業を機に夢だった日本語教師になることを決意。未経験から個人事業主になり完全フリーランスとして日本語を教えています。1年目でトータル1000レッスン達成。フリーランス日本語教師を目指している人に向けての有益な情報や、フリーランスの働き方について発信しています。